NHKアーカイブストライアル第三期に採択された期間を利用して20本の被爆ドキュメンタリーについて映像とナレーションとの関連を中心として映像を詳細に書き起こしトランスクリプトを作成した。その後、それぞれの特徴や「被爆の記憶」の語り口(ethnomethods)をさらに検討する手掛かりとしての予備的な読み込み作業を行った。そのうえで、特徴的で対照的な2本のドキュメンタリーの解読を試行した。その成果は、日本大学社会学会大会(2012年6月)で報告した後、「被爆を描くドキュメンタリーを解読する――被爆表象の批判的エスノメソドロジーの試み――」『社会学論叢』No.176、日本大学社会学会、47-70頁として論文化した。 一方、被爆問題(反核平和問題)関連記事の収集のため、朝日新聞広島総局にうかがい、そこにスクラップされている昭和34年以降現在までの記事のデジタルデータ化作業を集中した。結果として20000枚を超えるデータを得た。これは今後継続することになる科研調査において、さらなる整理や解読を進める予定である。
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