平成22年度は、「人口減少時代における地域づくり」という共通テーマを設け、この点に関して先進的な取り組みを行っている地方自治体を中心に地域調査、フィールドワーク、聞き取り調査を行なった。具体的には、以下の研究計画に基づき、課題を遂行した。 (1)人口問題を考える上で重要となるミシェル・フーコーの『性の歴史』ならびに統治性論の理論枠組みが、日本社会で応用可能かについて世界社会学会にて学会発表を行なった。また公共社会学や地域づくりの観点からみて、日本国内で先進的な取り組みを行っている地方自治体(主として長野県飯田市)の関係者、住民にインテンシヴな聞き取り調査を行なった。 (2)世代間公平に配慮した年金制度、すべての子どもに平等な子育て支援のしくみを構想するために、現在の年金制度・子育て支援の具体的な改革案を構想する。そのために、主として国が行っている政策体系を総ざらいするための文献収集を行なった。 (3)地域づくりのなかでも、地域間競争に対応する地域経営の戦略的取組みとして、地域のブランド化、町並み保存、交流人口の拡大策など、人口減少問題を考える際に、より必要になる具体的なテーマについて、長野県飯田市を対象に、アルバイト調査員を用いて、1人では実行不可能な規模の聞き取り調査・質問紙調査した。
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