本研究は,大規模パネル調査および横断的調査データを用いて,現代日本における同棲の動向と社会経済的特徴を検討し,さらに同棲経験者のパートナー関係の比較分析を通して顕現される日本のライフコースとカップル・夫婦像の変容をとらえることを目的とするものである. 具体的には(1)現代日本社会における同棲の現状を把握し,同棲経験者の社会経済的属性を比較分析すること,(2)同棲を経験したカップルのパートナー・家族関係の分析を通して変容する現代パートナー像を把握する.(3)それら実証分析を通して,わが国のライフコース・家族社会学の理論的発展に寄与するとともに,わが国のパートナー関係の実態に即した社会・家族政策のための基盤となる資料の提供という3段階の成果達成を目指し、研究を行った. 分析からは、1)2割程度の若年層(20-40歳代)が同棲経験をもつこと,2)先行研究からは、同棲経験者は同棲未経験者に比べ非通俗的な社会意識を持つことが予想されたが、未経験者と意識面において顕著な違いが見られないこと,3)同棲経験者のパートナー関係が同棲未経験者に比べ,役割分担において男女平等的であることなどが見出された.
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