研究課題/領域番号 |
22530535
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
伍賀 一道 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20104870)
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研究分担者 |
名古 道功 金沢大学, 法学系, 教授 (80172568)
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キーワード | 間接雇用 / 派遣労働 / 業務請負 / 人材仲介業 / 労働者派遣事業 / 流動的労働市場 / 失業 |
研究概要 |
(1)[日本の間接雇用(派遣労働、業務請負など)と流動的労働市場の現状に関する調査研究] ・昨年度に引き続き、沖縄県那覇市に進出した県外の人材仲介業(派遣労働・業務請負)の営業所および求人情報誌企業を対象に募集人員の実績、ユーザー企業への供給実態(送り出し人員数)の推移について聞き取り調査を実施した。2010年以降、自動車・電機産業などの景気回復にともなって東海・近畿地域への労働力供給が引き続き回復基調にあること、その規模はハローワークを経由した県外就労を上回る規模になること、さらに人材仲介業者を介して東日本大震災の被災地への労働力の供給が一部行われていることなどが明らかになった。 ・東日本大震災の被災地(福島県いわき市)を対象に、震災により失職した失業者を対象とする人材仲介業者およびハローワークによる就職斡旋の動向について調査した。被災者用仮設住宅での行政サービス業務を人材仲介業者が請け負い、求職者を採用している事例および震災復興関連事業への労働者派遣の事例が明らかになった。 (2)[韓国における間接雇用と流動的労働市場の動向に関する調査研究] 韓国の主力自動車メーカーB社Y工場において社内下請労働者の活用実態や出身地域、労働組合の対応などについて実態調査を行った。また、事務職を対象とする派遣業者および派遣業界団体に対する聞き取り調査を実施した。韓国では財閥系企業が直轄する社内下請制(業務請負)が強固であり、独立系の人材派遣業者が参入する余地が少ないことが明らかになった。このことが韓国で人材仲介業者が介在する流動的労働市場の全国的形成が見られない要因となっていることを示した。 (3)[EUにおける間接雇用の現状に関する研究] ドイツ、イギリス、スウェーデンなどの間接雇用の最新の動向について文献をとおして考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本および韓国における間接雇用形態による流動的労働市場の形成について、現地調査を踏まえて実態を明らかにしている。韓国について最新の動向を論文にまとめた(印刷中)。ドイツ・イギリス・スウェーデン・オーストラリアについては予算の制約もあって現地調査が難しいため、文献研究による最新動向の把握に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
日本および韓国の間接雇用形態による流動的労働市場の実態について引き続き現地調査を実施し、より詳細に明らかにする。ドイツ・イギリス・スウェーデン・オーストラリアについては文献をとおした考察になるが、重点をドイツとイギリスに置くことにする。
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