本研究は、派遣労働者の労働組合運動への参加と、労組側の派遣労働者の組織化を合わせて考察することによって、今日の労働組合運動のあり方を明らかにしようとするものである。事例としてとりあげた徳島の光洋シーリングテクノの派遣労働者は、多数派組合や少数派組合とは別の形でJMIUに加入し、地本や中央本部の支援を得ながら、偽装請負を告発し、派遣元企業と派遣先企業との交渉を通して、正社員化、直接雇用を勝ち取っていた。それは生産性向上、コストダウンを最優先する企業への異議申し立てであると同時に、正社員型の労働組合運動についての根本的な異議申し立てでもあり、労組の派遣労働者の組織化について大きな影響を与えていた。
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