本年は、前の科研プロジェクトの成果も活かしながら調査を続け、地域社会学会大会等でのべ5件の学会報告をおこなった。これらの報告をもとに論文をまとめ、自動車産業就業者男性の地域的紐帯が強くなっているため地域活動参加が活発化している点については地域社会学会年報に掲載が決まり印刷中である。女性票との比較をおこないながら男性住民の退職の意義を検討し、職縁の地域活動促進効果を明らかにした論考も日本都市社会学会年報に掲載が決定した。女性票データをもとに、トヨタ生産システムに地域参加抑止効果がないことを示した論考は、東海社会学会年報の査読結果をまっている。 年度後半は、豊田のまちづくり団体への質問紙調査の準備と実施で忙殺されたが市役所地域支援課の協力を得て、2月中に配布・回収を終えることができた。626団体に発送して有効回収率は71.4%に上り、市側の協力のおかげできわめて高いものとなった。あいにく東日本大震災が生じたため、団体へのインタビュー調査はいったん中断せざるをえなくなったが、今後は再開し順次行っていく予定である。なお、3月には香港城市大学に招かれ、セミナーで研究課題に関連した講演をおこなった。
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