企業立地と地域開発の時期から成熟期に入り、豊田市・刈谷市の都市構造、地域コミュニティには大きな構造的変化が起きている。経済成長期に自動車産業で働くため来住した地域住民は定住化し、相対的に豊かで地域的紐帯が強い「中流社会」の中で生活するようになっている。これをもとに両市では旧・新住民たちの地縁的なまちづくり活動への参加と、団体活動が活発化しており、豊田市ではリーダー層としての活躍も目立っていることが明らかになった。このことは、都市度が低くかつ資源・人材に恵まれた産業都市という、都市研究が見落としていた都市類型が存在していることを示唆している。
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