研究課題/領域番号 |
22530544
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
川野 英二 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (20335334)
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キーワード | 都市 / 貧困 / 社会的排除 / 移民 / 国際比較 |
研究概要 |
1 前年度に引き続き、(1)対象地域の都市政策に関する資料の収集、(2).対象地域の都市政策の特徴の比較分析、(3)対象地域の都市政策が住民に対して与える(与えた)と想定される影響の分析を実施した。当初はフィリピンのマニラおよびアメリカ地域の大都市(サンパウロ、マニラなど)に対象を広げる予定であったが、タイのバンコクで調査を実施する条件が整ったため、対象地域を変更し、約30名のデータがえられた。 2 都市の社会構成を把握するために、(1)住民の社会構成(職業・家族・住宅状況等)に関する小地域統計データの収集、(2)GIS(地理情報システム)を用いて社会地図の作成、(3)都市セグリゲーション指標の分析を行った。平成22年度ですでに大阪市データの分析を行っため、パリ市のデータを入手し分析を行った。(4)都市セグリゲーションの時系列変化と都市間比較に関してはさらにデータ収集が必要であるが、本年度は他地域のデータ入手が困難なため、大阪市の最新データを入手し、時系列比較を行う。 3 地区住民のライフヒストリーに関しては、平成22年度にえられた44名のライフヒストリーデータの音声データのトランスクリプションを行った。本年度はさらに詳細な分析を継続して行う予定である。また平成23年度にはタイ・バンコクで約30名のインタビューデータがえられたため、今年度はデータの詳細な分析を開始することができる。 4 地域住民組織の役割については、平成23年度にタイ・バンコクの地域住民組織を対象に調査を実施している。今年度はさらにパリ市の地域団体の追加調査を行う予定である 5 国際研究ネットワークの構築については、すでに研究が進んでいるフランスの研究者および地域団体とのネットワークを拡大することができた。今年度は別資金でブラジル・サンパウロ市に渡航する予定であり、サンパウロ大学の研究者とのネットワークを強め、今後の本格的な調査のための環境整備に努めたい。 6 本年は助成最終年度であるため、これまでえられた調査データを詳細に分析するために、フランスの研究者との交流を深め、先端的なデータ解析の手法を習得する予定である。すでに重要なデータがえられているため、複数の国で実施した調査のデータにもとづき、先進的な分析結果を報告することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の予算執行が変則的であったため、長期間の調査を実施することができなかった。また当初計画よりも予算が減少しているため、計画を縮小せざるをえず、北米,南米の調査を実施する見込みが立っていない。しかしながら、ブラジル・サンパウロ市には他の資金を利用して予備調査を行うことが可能となった。また当初はフィリピンを対象とする予定であったが、調査環境の問題からタイ・バンコクに対象を変更した。バンコクの調査では貧困地区住民約30名と地域住民組織に調査を実施すること炉でき、予想以上の成果があがったため、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
すでに計画の縮小と対象地域の変更を行っているが、24年度は最終年度であるため、主にこれまでえられたデータの分析を行う。そのためにフランスの研究者との研究交流を重視し、先端的なデータ分析の手法を応用した分析を実施する方針である。またパリ市の調査の継続とブラジル・サンパウロ市の予備調査を行う予定であるが、フォローアップと予備調査が中心のため、計画の変更が生じても、研究計画全体に大きな影響はないものと考えられる。
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