山形県酒田市北平田地区及び東田川郡三川町を対象として、集落営農についての資料収集及び聴き取り調査を実施した。北平田地区では、14生産組合が存在していたが、産地づくり交付金の営農条件に満たない個人・集落が数カ所あったことで、生産組織あり方検討を幾度となく開催し、7営農組合に統合した。また役員構成も多く一期2年で交替するため、組織に対する意識の低下が現れた。そのような状況のなかで、農業を重視する担い手に役員構成を絞り込み、5カ年を区切りとして、第一期目の営農組合組織が定着してきた。大型機械の共同化を軸に、法人化への足がかりをつかんでいる。他方、東田川郡三川町では、選考する各種営農組織・生産組織を統合して、2007年に特定農業法人青山農場を設立しており、集落内の大半の農地を集積して、集落営農にとりくんでいる。実態としては、まだ補助金を加えて、はじめて黒字となる経営ではあるが、コスト・ダウンをはかり、効率的な農業を実践している。酒田市北平田地区は、大型機械の共同化を通じて、これから法人化を実現しようとするプロセスにあり、600ヘクタールをカバーする大規模な集落営農であるが、東田川郡三川町の場合は、30ヘクタールをカバーする比較的小規模な集落営農である。いずれも米価の下落やコストダウンとの関わりから、今後の農業の展開にとって重要な試みと考えられる。
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