平成24年度は、研究代表者と研究分担者が別々に補充調査を実施した。研究代表者は、山形県酒田市および三川町で、「きたひらた営農組合」、農事組合法人「青山農場」で聴き取りをおこない、主に、法人設立後の経営状況、利用権設定面積の増減、雇用労働力、そして、集落との関係を明らかにした。研究分担者は、広島県東広島市、北広島町で、農事組合法人「ファーム・おだ」、農事組合緒法人「岩戸黒瀧」で聴き取りをおこない、主に、法人と集落との関係、畑作の状況、加工施設の運営、畦畔管理の状況を明らかにした。 この結果、法人の設立に当たっては、集落の合意がおこなわれており、「村の論理」が活かされていること、そして、その基盤として、「農用地利用改善組合」が結成されており、このうえに法人が結成されていることが明らかとなった。また、東日本と西日本を比べてみると、共通して、畦畔管理を地権者がおこなうことが見られたが、とくに岡山県では、畦畔管理も法人が担っていることがわかった。つまり、賃貸関係が純化する傾向も見られたわけである。全体としては、法人化の特徴は明らかにすることができたが、家や村の論理とのもう一段深いところでの関連については不明の所がある。今後の課題である。
|