研究課題/領域番号 |
22530551
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中道 仁美 愛媛大学, 農学部, 准教授 (30254725)
|
キーワード | 過疎 / 住民運動 / 地域再生 / 国際連携 / ベトナム / ジェンダー / 西予市明浜町 / 女性起業 |
研究概要 |
過疎地域住民の自主的な活動について、愛媛県西予市明浜町宮之浦地区で調査した。様々な年代や性別の住民に集ってもらい、地域の問題を話し合ってもらった。また、15歳以上全住民に対するアンケート調査では、住民に地域再生への協力意欲が強いことも発見され、再生計画づくりにつなげられた。前年度に行った狩江地区との比較から、宮之浦地区では集会所が多数あるにもかかわらず、住民の意思疎通が十分でないこともわかった。理由は様々考えられるが、ひとつには、狩江地区の秋祭りのような、住民を結びつける機会がほとんどないことがわかった。そのため、宮之浦地区では、そのような機会づくりを今後の活動の一つにするということであった。 また、愛媛県松野町の上家地地写においても全戸調査を行ったが、住民のほとんどが高齢者で、どのような活動にも消極的であることがわかり、その対策の難しさが実感された。 狩江地区の有機農業集団「無茶々園」による途上国の環境保全、農業発展をもとめた活動をベトナムの現地で調査した。ベトナム人の若者に現地で日本語を教え、日本の技術研修制度を利用して日本の農家に派遣し、帰国したものを現地農場で雇用するという一連のシステムをようやく完成させた。しかし、依然として問題は山積している。本年度は、ベトナムから日本に派遣された元研修生へのインタビューをおこない、研修制度の課題について考察した。日本での滞在、日本語の習得を目的にした者が多く、農業を学ぼうとする者は多くはなかった。日本で農業技術を学んでも、帰国後働く場所がなく、無茶々園の有機農業学校や、学校の元教師により創設された有機農場で働く希望者の多いこともわかった。 女性の社会的起業については、宮崎県、熊本県、岐阜県、鳥取県の山村で、林業に関係する起業調査を行った。林業における女性起業はまだ少ないが、林業振興、地域振興という社会的目的は十分考察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
補助金の減額により、調査範囲を縮小し、調査対象を絞り込んだ結果、愛媛県内の活動、及びその関係地域(ベトナム)、女性の活動を中心に研究を推進している。 明浜、松野調査については現地報告を行ったし、研修生派遣制度の実態と課題については、学会報告(北海社会学会)も行い、女性の活動については、女性起業の課題として一部を雑誌に掲載した。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度まとめに向けて、補充調査を行うとともに、成果の一部をまとめ、発表、投稿したいと考えている。なお、2012年7月開催の世界農村社会学会にはエントリーし、報告する予定となっている。
|