本研究の目的は、これまで日本国内におけるディアスポラとして論じられてきた沖縄社会が、日系人・外国人・アメラジアンといった海外出身の住民や異文化を持つ住民を内包するホスト社会としての立ち位置も兼ねるようになった現在、沖縄県内におけるディアスポラと言える彼らをどのように認識し、関わっているのかを検証することにある。 沖縄社会は多文化化が進行しているにもかかわらず、異文化を持った人々がそのハビトゥスを表出しにくいのが現状であり、沖縄の人々も外国人・日系人・アメラジアンを同じ地域の住民としてまなざし、共に暮らしている存在とは認識していないように思われる。本研究では、多文化化がどのように進行しているのかを明らかにするとともに、彼ら異文化を持った人々とどのように共生していく可能性があるのかを実証的に明らかにする。 具体的には、沖縄社会をホスト社会としてとらえたときに、沖縄の人々が日系人、外国人、アメラジアンをどのようにまなざしているのか、多文化化はどのように進んでいるのか、彼らと共生する可能性はあるのかを量的・質的の二つの方法で調査を行う。このような視点の調査はこれまでなく、安藤由美・鈴木規之・野入直美編『沖縄社会と日系人・外国人・アメラジアン』(2007)でも駒井洋により調査の必要が求められた。平成21年度に第1次の量的調査を行い、一年目の平成22年度には第2次の量的調査を補足的に行った。 平成23年度は、「第5回世界のウチナーンチュ大会」において質的調査(参与観察)を行い、海外参加者の動向や、県民との交流について第1次、第2次の量的調査の結果と共に国際セミナーで報告し、外国人研究者と共に他国での知見も交えた討論を行った。また、第1次、第2次の量的調査の結果を報告書にまとめて発行した。 そして、最終年の平成24年度は、成果をもとに国際学会での発表や、研究者との意見交換を行った。
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