日本では、妊娠・出産育児と企業での仕事の両立は困難で、両立を期して起業した場合にもやはり困難である(インタビュイー26人)。子どもは新たな関係形成となるが、女性が従来有していた職業的なネットワークの途絶とともに経験される。スウェーデンでは、妊娠・出産・育児は転職や起業の契機となって新たな社会的ネットワーク形成をもたらし、社会的ネットワーク喪失の契機とはならない(インタビュイー19人)。 日本では妊娠・出産・育児が私領域化されており、スウェーデンでは社会保障によって公領域化されていることから、両国はケアの社会的位置づけについて対極的である。しかし、それらは女性の起業に対してともに抑制的に作用する。この詳細は2014年の世界社会学会で報告する予定である。
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