研究課題/領域番号 |
22530562
|
研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
浦野 茂 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80347830)
|
研究分担者 |
水川 喜文 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (20299738)
|
キーワード | エスノメソドロジー / 会話分析 / 発達障害 / 自閉症スペクトラム / 社会生活技能訓練 / 相互行為 |
研究概要 |
本研究は、発達障害者(とりわけ自閉症スペクトラム児)の療育場面の相互行為の構造を、エスノメソドロジー・会話分析の手法によりながら解明することを目的としている。この目的の下、今年度は、次のような研究活動を行い、そこから次のような成果が得られた。 1.前年度に行ってきた先行研究の把握と社会生活技能訓練(SST)場面の相互行為データ分析によりながら、分析上の主題を決定した。すなわち、SST場面の参与枠組の切り替えに対する自閉症スペクトラム児の参与の仕方である。 2,そのうえで、この主題に該当するデータ断片のそれぞれについてトランスクリプトを作成し、分析を深めた。結果として見いだされた事柄は、発話に限定してみるかぎりではきわめて限定的な能力しか持たないと見られがちな自閉症スペクトラム児が、実際には極めて適切にそのつどの相互行為に参与しているという点である。 3.このような自閉症児の相互行為的能力は、自閉症スペクトラム児について従来言われてきたコミュニケーションの障害と社会性の障害とについて、再考を促すものとしてきわめて重要なものである。したがって本年度はこのような論点を踏まえながら、自閉症スペクトラム児についての従来の精神医学および認知心理学における認識に対して、再検討をも行った。 4.上記の作業にもとづき、本年度は次のようにいくつかの学会報告を行った。10^<th> Conference of the International Institute for Ethnomethodology and Conversation Analysis(Fribourg,Switzerland),第84回日本社会学会大会(大阪府)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度科学研究費補助金交付申請書に挙げた計画3点(ビデオデータの分析の深化・学会報告2点・学会誌投稿論文の完成)をすべて遂行している。
|
今後の研究の推進方策 |
自閉症スペクトラム児について言われてきた社会性の障害とコミュニケーションの障害について、相互行為への参与という視点から再検討する作業を、前年度より引き継いで進めていく予定である。
|