研究課題/領域番号 |
22530562
|
研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
浦野 茂 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80347830)
|
研究分担者 |
水川 喜文 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (20299738)
中村 和生 青森大学, 社会学部, 准教授 (70584879)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
キーワード | エスノメソドロジー / 発達障害 / 自閉症スペクトラム / 社会生活技能訓練 / 心の理論 |
研究概要 |
本研究の目的は、発達障害者(とりわけ自閉症スペクトラム児)の療育場面の相互行為の構造を、エスノメソドロジー・会話分析の手法によりながら解明することである。平成24年度には次の成果が得られた。 (1)自閉症スペクトラム児に対する社会生活技能訓練(SST)場面、とりわけロール・プレイ場面の相互行為的構造を明らかにした。ロール・プレイ場面の相互行為的構造は次の通りである。セッションのリーダーによる状況設定は、ロール・プレイの実行のための枠組となるとともに、参加児童に対する評価の枠組ともなっている。リーダーは、この枠組を資源としながら参加児童の振る舞いを逐次モニターし、問題が観察可能になった際に、児童に対する支援を行う。そしてこの支援は、逸脱を修復するという形をとらず、むしろ「児童とともに」発話を形成していく仕方となっている。このように、発達障害児への支援の実践が児童による積極的な参加を不可欠な資源としていることを具体的な相互行為の構造として特定できた点において、本研究は大きな意義をもつものである。 (2)本研究はまた、自閉症スペクトラム児の中核的障害についての既存の言説を検討した。検討対象は「心の理論アプローチ」である。このアプローチは、自閉症スペクトラム児者の障害特性とされる社会性の障害を自閉症スペクトラム児者の「心の理論」の失調に求める。本研究では、このアプローチが採用している心理主義的・個体主義的な概念的前提の論理的および支援上の問題を指摘した。そのうえで、他者理解という現象を具体的社会状況における実践への参加として捉え、したがってまた自閉症スペクトラム児の障害特性をも、こうした参加上の特徴として再特定していくアプローチを示した。自閉症児者の具体的社会状況における行為や、療育実践の実態に即したアプローチの概要を示した点において、本研究は大きな意義をもつものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|