本年度の調査研究は「市民統治による市民事業体が都市行政制度体系に組み込まれる(準自治体化、Quasi-municipality)にあっての新たな社会的役割」を追求する、独創的な研究目的をもつものである。その観点から、本年度の調査研究は、シアトル市図書館資料館等の文献調査と、また実施されたヒアリング調査を基に、とりわけ、二つの点で研究を深化させた。 第一に、PPP手法とPDA手法の違いについての側面についての研究をふかめた。この点について一つの論文において示した。(「縮小する集合住宅地に立ち向かう新たなパラダイム再開発の手法の問題と可能性 -米国におけるPPP手法とPDA手法を中心に-」『都市経営』第2号、2013年)。第二にまた、市民統治による市民事業体というしくみのエッセンスを確認する観点から、PDAの事業展開の実際と関係者(歴史的観光施設運営におけるテナント等)が制度的に接合されている仕組みについての研究を深化させた。この点について、もう一つの論文において示した。(「準自治体Public Development Authority(PDA)の原点と新展開 -Pike Place Market PDAを中心に-」『都市経営』第2号、2013年)。 以上において、同上の研究目的からしての、PDAの統治構造と法務(基礎部分)のありように関する全体シェーマ構築の作業を行い、示すこととなった。
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