本研究は、徳川後期の農民の世帯形成メカニズムを明らかにすることが目的である。東北日本2地域(会津山間部4か村・二本松平野部3か村)、中央日本2地域(美濃平野部6か村、信州山間部2か村)を研究対象地域とし、史料は主に宗門改帳を用いる。観察は、まず両地域の人口学的指標を明らかにし、地域特性を見出す。次に、両地域に共通する農民世帯の世帯形成のメカニズムを解明する。さらに、世帯形成にそれぞれの地域の人口学的条件がどのような影響を及ぼし、どのような歪みが生じているのかも解明したい。 本研究1年目にあたる平成22年度は、研究の基礎固めにすべての時間を費やした。まず、信州山間部のデータベース構築のための基本的な確認および整理を行った。具体的には、横内村の基礎シート(BDS)の確認および整理、データベース構築の準備作業、一部入力作業のテストをおこなった。また、本年度申請者が予定していた現地調査は個人的な理由により実施できなかったので、現地調査および資料調査は2年目に実施することにし、本研究2年目以降に予定していた先行研究の整理を繰り上げて開始した。信州は、家研究の先行研究(モノグラフ)が数多く存在する地域であり、これらを整理し、本研究とリンクさせることを模索している。先行研究はかなり存在し、その所在が確認できたので、本研究2年目もこの作業は継続することになる。 信州山間部は、史料が豊富に残存している地域である。信州山間部には、本研究で用いる、横内村、南熊井村以外にも世帯研究に耐えうる長期間におよぶ宗門改帳および関連史料が残存していることが判明した。すでにこの地域で史料調査および整理を行っているグループとコンタクトを取り、来年度史料調査に参加させてもらう予定である。
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