本研究は、徳川後期農民社会の世帯構造メカニズムを明らかにするために、東北日本2地域(会津山間部4か村・二本松平野部3か村)と中央日本1地域(美濃平野部6か村)の宗門改帳を史料とする世帯分析用データベースを構築することを目的とした。宗門改帳を史料とする研究において、最も時間を費やすのはデータベースの構築である。本研究では既に、東北日本2地域のデータベースを完成させ、データクリーニングを継続的におこないながら、世帯構造の分析に取り組んできた。平成25年度は、会津山間部のデータを用い、単独世帯の特徴の分析を行い、ハメル・ラスレットモデルの6類型の中でも非家族世帯についでその割合が低いこと、一人暮らしは高齢者に多いこと、また生涯未婚者は、極端に少なかったことを明らかにした。しかし、当初の計画以上にデータベース構築には時間がかかり、平成26年3月までに予定していたデータベースの完成には至らなかった(具体的には、濃尾平野部2か村のデータ入力中。3か村はデータクリーニング中)。現在、東北日本2地域のデータを用いながら世帯構造の分析をおこなっているが、東北日本と中央日本の比較という、当初の地域的広がりをもった世帯構造の研究は未完である。また、昨年度、新たに本研究のデータベースに付け加えることが可能な信州山間部2か村のフィールドワークをおこない、史料の確認作業を進めている。今後、この資料もデータベースに加え中央日本の地域を2地域に広げることにより、よりダイナミックな世帯構造の分析が可能になるものと考えている。
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