日本、韓国を中心に、地域で生活する重症熱傷体験者と精神障害者が何を必要とし、今得られているサポートの状況を把握するとともに、より望ましい支援とは何かについて資料を収集した。 2010年の統計によると、韓国では一般火事や山火事が原因で約13000人が入院、約23万人が熱傷治療を受けており、多数の者が後天的事故や災害が原因で障害を負っている。しかし熱傷そのものは障がいと認定されず、失った機能により、四肢障害や視覚障害、顔面障害などに分類されるものが多い。熱傷体験者が最も必要としている社会福祉サービスは経済支援であり、第二は医療・リハビリサービスであった。これは他の障害者も同じではあるが、度重なる皮膚移植など医療的治療を継続せざるを得ない彼らにとって、医療とリハビリサービス支援にはさらに重きを置く必要があるといえる。また熱傷体験者の障害認定の難しさ、外貌が大きく変化することによる対人関係上の困難を鑑みると、既存の社会福祉サービスを今以上に利用しやすくすることも求められる。また、韓国では民間団体による熱傷体験者サポートが進んでおり、共同募金会の協力で熱傷受傷した児童に対する医療保障が行えるほどの実績を積んでいる。 一方、精神障害者は、熱傷受傷者とは異なり「目に見えにくい」障害であり、そのことで当事者は困難を感じている。地域で生活する精神障害者は人々からの「まなざし」「偏見」を強く感じているのは日本と変わりない。韓国では精神障害者についてマスコミ(主としてテレビ局)がどのような配慮をしているのか、国家人権委員会がまとめており、これは日本の報道においても大いに有益な資料になると思われる。
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