研究課題/領域番号 |
22530584
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
大束 貢生 佛教大学, 社会学部, 准教授 (20351306)
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キーワード | 社会学 / 学校と地域の連携 / サービス・ラーニング / 参加型学習 / 中等教育 / 市民意識の醸成 / 困難校 / 自尊感情 |
研究概要 |
2007年度に全東京都立高等学校において必修教科「奉仕」が開始された。これは日本におけるサービス・ラーニング展開の歴史において画期をなすことである。教育と実践を有機的に結合するコーポラティブ教育の一形態としてアメリカで始められたサービス・ラーニングは、日本では高等教育機関である大学において正課外や選択科目として導入された。しかし必修科目である点、そして受講生の人数規模が巨大である点で、都立高校におけるサービス・ラーニングの展開はまったく次元を異にするものである。2007年度の高校1年次に教科「奉仕」を履修した生徒の多くが2010年度には大学へと進学することをふまえ、教科「奉仕」の生徒・教員・地域社会への影響をインタビュー及び、2つの質問紙調査によって実証的に検討することを目的とする。 上記の目的のために23年度は以下の研究を行った。 1、サービス・ラーニングに関する動向と理論的検討 2、都立高校生対象の質問紙調査の実施 短期的な影響として、武蔵村山高校(郊外立地標準偏差値校)、上野高校(都心立地標準偏差値校)、武蔵高校(郊外高偏差値校)の受講生を対象として、事前学習中の7月、社会奉仕体験活動と事後学習実施後の12月にアンケート調査を行った。 3、大学生対象の質問紙調査の準備 長期的な影響を測るため、国立東京学芸大学、早稲田大学、学習院大学など懇意にしている教員の所属する四年制大学数校に調査協力依頼を行った。 4、都立高校の教科「奉仕」担当教員へのインタビューの実施・分析 前年度に引き続き、困難校での教科「奉仕」の実施について、新宿山吹高校(単位制)、桐ヶ丘高校(チャレンジスクール)の教科「奉仕」担当教員へのインタビューを行った。 5、活動受け入れ団体担当者へのインタビューの実施 先の協力校7校の協力を得て、昨年度ラポール形成を行ったいくつかの受け入れ団体に対してインタビュー調査を行った。 6、調査結果のまとめ 調査結果の集計と分析を行う。資料の整理と調査票の整理・分析をふまえ、総合的な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年3月に起こった東日本大震災の影響により、全国的(特に研究対象としている東京都)においてボランティア活動に対する意識の向上がみられ、教科「奉仕」の影響について測定を行うことが、昨年度前半に困難となった。そのため、短期的影響、長期的影響ともに、調査枠組みの変更を余儀なくされている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、研究年度の最終年度として、1、引き続き短期的な影響についての前年協力いただいた3校でアンケート調査を行う。2、大学生対象のアンケート調査を今年度前半に行う。3、都立高校教科「奉仕」担当教員のインタビューをまとめ、教科「奉仕」の教員への影響を分析する。4、引き続き活動受け入れ団体にインタビューを行い、地域社会への影響を分析する。5、研究成果をまとめ学会で報告を行い、報告書を作成し、協力校にフィードバックを行う。
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