本研究の目的は、被差別地区出身者や在日コリアンでひとり親家族になっている親と子どもに焦点をあて、わが国の社会においてマイノリティであることによる差別や排除が離婚や非婚によるひとり親家族となったことにどのような影響を及ぼしてきたのか、さらに、マイノリティのひとり親家族であることが、彼ら・彼女たちの生活の営みにどのような影響をもたらしているのかという、マイノリティであることの差別や排除とひとり親家族であることの差別や排除との相互の関連を明らかにし、差別や排除が複合化するメカニズムの解明と、そのことが、当事者の日常生活にどのようなダメージをもたらしているのか、生活者の視点から解明することにある。 平成22年度は、本研究をすすめるうえで、以下のような準備と調査を行った。 (1) ひとり親家族を取り上げた国内外の現状について学び合う機会として、共同研究者とともに、研究会を発足させて、情報交換を行った。 (2) 被差別地区、および在日韓国・朝鮮人の人びとの差別や排除に関する文献を調べた。 (3) 社会的差別と排除に関する、国内外の文献を調べた。 (4) インタビュー調査の準備を行い、実施した。 (1) 大阪府内のNPO法人や福祉団体、被差別地区の関係者、人権団体等に協力依頼し、インタビューに協力してもらえるひとり親家族を紹介してもらった。 (2) ひとり親家族の親を対象にするインタビュー項目を検討した。 (3) ひとり親家族の子どもを対象とするインタビュー項目を検討した。 (4) 被差別地区出身者のひとり親家庭の親や子どもたち、総勢23名のインタビューを行った。 (5) インタビュー記録の録音について、文字起こし作業を行った。
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