研究課題
本研究の目的は、農村住民が持続的で安定した生活および農村社会の維持・再生をはかる方法の1つとして都市との交流を行う際、いかに「消費される」ことなく自立的でありえるかを明らかにすることを通して、家・ムラ論の有効性や限界、および新たな方法論・研究枠組みの提示を図り、実証的にも理論的にも寄与することにある。本年度は、そのために大きくは以下の3つのことを行った。(1)関連文献の収集・読み込み:農村社会学のほか、農業経済学、日本民俗学、ソーシャルキャピタルやネットワーク論、地元学・半農半X思想関連の文献を通して、家・ムラ論、個人への着目、フェミニズムの視点、生活農業論、脱20世紀システム(生産力主義)論、グローバリゼーションとローカリゼーション等の方法論的有効性と限界・課題の整理中。村落研究のレビュー論文を準備中。(2)調査計画の策定と実施:都市-農村交流(農産物の生産加工販売、農家民宿・食堂など)を行っている複数のムラをフィールドに、ムラの住民、そこに関わる自治体・NPO・コンサルタント等関連諸機関、都市住民も調査対象に含め、インテンシブな調査を行った。(3)学会発表:消費されない農村におけるキーパーソンとしての「田舎のプロデューサー」に着目した研究発表を行った。現在、フィールドワークを実施しながら、本研究の問いの明確化および基本的概念の設定(「消費されない農村」モデル、「消費される農村」、「都市の欲望」、「外部経済の内部化」)、都市-農村交流の類型化と諸特徴の析出(都市-農村交流の社会的諸事象の全体像、類型化とそれぞれの特徴の析出)、「消費される農村」を生み出す諸契機の整理(取り組む主体の側/周囲の諸個人・団体等の側/政策等全体社会の側)等に関する考察を進めている。
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Proceedings of ARSA ; The 4th Conference December 2010 Legazpi City, Philippines, September 6-10, 2010
巻: Vol.2 ページ: 143-147