研究課題/領域番号 |
22530597
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
清家 久美 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (00331108)
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研究分担者 |
イーズ ジェレミー 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80232106)
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キーワード | 地域 / NPO / 社会運動論 / 現代社会論 / 協同組合 / 連帯 / 職人 / 日本思想 |
研究概要 |
▼本研究では、近年日本国内の「地域」をめぐる活動/運動の現代的意義を考察することを目的とする。全国において地域の活性化の顕著な動きが見られるが、一般に言われるような従来の経済的活性化のみをその目的とはせず、ある運動性/思想性を持った活動を展開しているNPOなどの組織が存在する。本研究では、そうした動きを対象とし、人々はなぜ<地域>に関わる活動/運動をおこなうのか、その理由について、活動に関わる個人の意識に焦点をあて、いかなる社会的背景、社会構造において彼らがそうした行動を展開するのかを解明していく。すなわち日本思想/宗教的視点が導入された現代社会論や社会運動論的研究の問題系に位置づけられる。 ▼本研究の研究計画は(1)地域づくりに関する文献研究(2)現代社会論に関する文献研究(3)社会運動論に関する文献研究(4)日本の思想/哲学/宗教に関する文献研究(5)NPO/NGOに関する文献研究おおまかに分けて5つの分野の文献研究が必要とされる。それぞれの分野における、理論的検討と綜合がおこなわれる。また対象となる地域でのフィールド調査が必要となる。新潟のNPO法人かみえちご山里や各地域で展開される地元学の手法を用いての地域活性化の活動等においてインタビュー等の質的調査をおこなうということを研究計画としている。 ▼まず(1)に関しては徐々に研究を進めている。(2)については社会学における現代社会論はすでに多くを網羅している。(3)は翻訳されている研究についてはすでにほとんどすべてを網羅し読了している。現在は英文献を読み進めている。(4)は思想、哲学については関係文献の研究を進めている。(5)はほとんどすべてを網羅しデータベース化している。また、NPOかみえちご山里ファン倶楽部の調査は、代表と各メンバーへの質的調査はすでにかなり充実させて、言説分析をおこなっている。今年度は、当該NPOに関係する協同組合の研究による本研究の深化を目指し、投稿論文を一本完成させた。また新潟での研究会等を繰り返しおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究計画は(1)地域づくりに関する文献研究(2)現代社会論に関する文献研究(3)社会運動論に関する文献研究(4)日本の思想/哲学/宗教に関する文献研究(5)NPO/NGOに関する文献研究おおまかに分けて5つの分野の文献研究とまた対象となる地域でのフィールド調査と上記の理論的蓄積を背景として、考察、分析をおこなうことである。文献研究は着実に進められており、さらに調査に関してもコンスタントに進められている。今年度は調査をおこなっているNPOのある側面として機能している協同組合についての論文執筆をおこない、考察分析についてもその深化は確実になされている。当該研究について来年、最終年度に向けてさらに2本の論文化を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
上記11の「現在までの達成度」においても記述したように、地域をめぐる活動や運動を考察していく際に最も中心的な議論になる対象が協同組合であることが調査の過程で明らかになってきた。地域活性化を目的としているNPOがそれ単体として活動しているわけではなく、共同して活動している生業集団である協同組合との関係の中で研究する必要性が研究の内発的必要性の中から生み出されたあらたな課題として提案された。したがって、当初の研究計画の中心としては挙げていなかったが、今年度から始めた協同組合の研究を来年度も中心的におこなっていく予定である。その協同組合については今年度事例研究としてまとめているので、今後はその考察も含め、地域をめぐる活動をおこなっているNPOとの関連性を議論しつつ研究を深化させていく。
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