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2011 年度 実績報告書

ALS患者の役割認識の変化―あきらめる役割.残る役割.新しい役割―

研究課題

研究課題/領域番号 22530599
研究機関新潟大学

研究代表者

隅田 好美  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90377185)

キーワード社会福祉関係 / 医療・療福祉 / 難病
研究概要

筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」)は、徐々に身体的機能が低下し、最終的には自分の意思で身体を動かすことが出来なくなる過酷な病いである。さらに、いつ呼吸困難になるのかわからないという恐怖をもち続けているため、患者や家族の精神的苦痛は大きい。このようなALS患者への精神的支援は専門職として重要である。ASLとともにその人らしく生きるための精神的支援の1つとして、本研究では「役割認識」に焦点をあて、専門職としての支援を検討することを目的とした。
23年度は日本ALS協会の4支部の患者会員81名にアンケート調査を実施し、59名(72.8%)の有効回答が得られた(男性37名・女性19名・無回答3名、人工呼吸器装着40名・未装着16名・無回答3名)。用紙への記入が困難な患者は家族や介護者が本人に確認し代筆したり、本人がメールで回答した。調査内容は(1)身体状況および介護状況、(2)現在の楽しみ、(3)心理検査(コーピング特性簡易尺度:BSCP、特性不安尺度:STAIY-2、モーズレイ性格検査E尺度)、(4)家族役割および社会役割についてである。
家族の役に立っていると「思う、少し思う」(54.0%)と「思わない、あまり思わない」(46.0%)はほぼ同じであったが、社会の役に立っていると「思わない、あまり思わない」(63.3%)は、「思う、少し思う」(36.7%)より割合が高かった。社会役割、家族役割ともに人工呼吸器装着者と未装着者で差はなかった。BSCPの積極的問題解決が高い人は低い人に比べ、社会に役に立たないと感じている割合が有位に高かった。楽しみややり甲斐の「社会とのつながり」の関連項目が0個の回答者は、人工呼吸器装着者(39.4%)が未装着者(13.0%)に比べて多かった。「社会活動」の項目が0個の回答者は、装着者と未装着者ともに50%を越えていた。楽しみの項目に1つも回答がなかった3名は人工呼吸器装着者であった。しかし、要介護度4以下の90%が楽しみが「1~5個」であったが、要介護5の回答者の28%が「6~10個」あり、「11個以上」も6%あった。病状が進行することで社会役割の喪失を感じることが多いが、身体状況に関係なく病いを受容することで楽しみを持って生きる可能性が高くなることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成22年度に実施した聞き取り調査は、日本難病看護学会で発表を行い、投稿の準備中である。また、平成23年度に予定していたアンケート調査は終了し、分析結果を公表する準備段階である。

今後の研究の推進方策

23年度は患者会4支部へアンケート調査を実施した。しかし、病いを否認している患者は、患者会との関わりを拒む場合が多い。そこで、24年度は病院に調査協力を依頼し、病状告知後すぐの患者や、患者会との関わりの少ない患者に対し、聞き取り調査および面接によるアンケート調査を実施する。分析は役割認識とその関連要因について深く検討し、23年度のアンケートをもとに、病いを否認している患者と受容している患者との役割認識との比較を行う。さらに、6ヶ月に数回、継続的に聞き取り調査およびアンケート調査を行うことで、役割認識の変化に関連する要因を検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 病いの受容過程における役割認識の変化-ALS患者への質的調査を通して-2011

    • 著者名/発表者名
      隅田好美
    • 学会等名
      第16回日本難病看護学会学術集会
    • 発表場所
      昭和大学医学部附属看護専門学校(東京都)
    • 年月日
      2011-08-27

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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