研究初年度の平成22年度には、国内外における文献収集(特に一次資料の収集)を中心に研究活動を行った。まず、ホイットニー・ヤング世代の黒人青年に階層上昇の機会を与えた(G.I.Bill(第二次大戦の退役軍人に支給された就学・就業資金)の実質的効果、すなわち黒人青年個人と黒人大学双方の社会的地位向上への効果について二次資料を中心に研究し、その結果を紀要に発表した。次いで、ミネソタ大学において、1950年代から1960年代のアメリカ社会福祉界の動向、特にソーシャルワーカーの人種問題についての見解についての一次資料調査を行った。(1)全米ソーシャルワーカー協会理事会議事録および関連資料、(2)全米社会事業会議大会記録・理事会議事録および関連資料、(3)全米社会福祉会合理事会議事録および関連資料の収集を行い、その分析については、デンバー大学におけるコンサルテーションを経て実施した。以上を研究成果の中間報告としてまとめ、社会福祉学会第59回秋季大会において「アメリカ社会事業史におけるホイットニー・ヤングの位置づけ」と題して発表した。その後、次年度の研究を一部前倒しし、コロンビア大学においてホイットニー・ヤシグ関連一次資料の調査を行い、書簡や全国都市同盟関連個人メモから、ヤングの置かれた社会状況や彼自身の考え、周辺人物との相関関係について考察を深めた。
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