学校のなかで、特にスクールソーシャルワークの必要とされる領域を明確化し、その領域におけるスクールソーシャルワーク実践のプロセスを示してきた。それは、単なるミクロ実践や技術ではなく、学校という実践の場であることや、教師の価値観や認識からなる学校文化(志水2005)に、そして教育委員会という教育行政に大きく影響していた。これらも含めてのプロセスを考える必要があり、日本における学校におけるソーシャルワーク実践の独自性である。これを明らかにする目的で、今までの研究成果をさらに発展させて、今年度は以下、3点に取り組んだ。 (1)マクロ実践の明確化:海外ヒアリング調査を実施し、そのシンポジウムを実施し、海外を日本との比較で紹介する論文と調査論文とに取り組んだ。前者は掲載され、後者は掲載予定で発刊を待っている。日本の実践や政策の位置づけを海外比較のなかで明らかにした意義は大きい。今後、ホームページにアップしていく。 (2)実践モデルの完成:実践モデルを場面特化する形でわかりやすくDVD化し、全国に発送した。また、海外ジャーナルに発表し日本の位置づけを海外にも明らかにし、HPに公開した。 (3)効果測定の準備:コスト評価法などを学習の機会を設け、量的調査を実施し、分析の準備を行った。 以上、取り組んできたことは、今までの研究で明らかにされていない、以下2つのことを明らかにした意義がある。1つは、教員が最も困難を抱えている領域-保護者に問題意識のない領域-において、実践モデルを試行、普及させる。もう1つは、まだ始まって時間も経ていないスクールソーシャルワーク事業にマクロ実践としの取り組みを海外の比較、海外への紹介という海外へのアクションを起こしたことの意義は大きい。
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