本研究の目的は介護支援専門員のバーンアウト構造及び復帰プロセスの提示である. 今年度は特に,ケアマネジメント実践におけるチームマネジメントに焦点をあてて検討を行った.調査方法は参与観察法およびインタビュー法である.分析方法は定性的(質的)コーディングである. 今年度は,ケアマネジメント実践におけるチームマネジメント機能の構造とプロセスについて,サービス担当者会議を典型的なフィールドとして取り上げ,リーダーシップおよびチームワーク概念を用いて明らかにした.また,チームマネジメント能力育成について,福祉系大学生を対象とした演劇を活用した演習における成果も提示した. チームマネジメントは,ソーシャルワークとケアマネジメントに共通する機能であり,今後一層その活用が期待されている.この研究では,介護支援専門員の「チームマネジメントモデル」を新たに提示している.そして,同モデルがソーシャルワークおよびケアマネジメントの特性に対応することで,対人援助専門職のボーダレス状況のなか,生涯にわたる介護支援専門員のキャリア構築上の「戦略」として用いることを提案している. 今年度の研究は,バーンアウトを引き起こす要因として,介護支援専門員のチームマネジメントへの不適応に着目したものである.つまり,チームをマネジメントできない構造とプロセスを理論化することで,バーンアウトを未然に防ぐ対策の提言を試みている.この成果は,介護支援専門員のバーンアウト構造だけでなく,その復帰プロセスの解明にも生かされたように思われる.また今年度は,この間の研究成果を2冊目の著書としてまとめることができた.著書題目は『介護支援専門員のチームマネジメント-リーダーシップの移譲とチームワークの拡大』である.
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