研究課題/領域番号 |
22530617
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
増子 正 東北学院大学, 教養学部, 教授 (80332980)
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キーワード | 地域福祉 / 共同募金 / ソーシャル・キャピタル / コミュニティ・ファンド |
研究概要 |
平成23年度研究では、共同募金の配分がソーシャル・キャピタル形成にどのような効果をもたらすかの仮説モデル検証に重点を置いた。具体的には、仙台市共同募金委員会の協力を得て、平成20年度以降に仙台市共同募金委員会の「住みよい地域づくり支援事業」及び「子育て支援事業」の配分を受けた団体・組織と地域を対象にして仮説モデルの妥当性を検証するための調査を実施した。調査の内容は、配分金の使途(物的対象、人的ネットワークづくり対象)の違いにより、地域全体のなかで人的ネットワークや、組織間のネットワーク、ソーシャル・キャピタルの形成に共同募金の配分金がどのように影響を及ぼしているかを明らかにするものである。調査対象は、住みよい地域づくり支援事業:126/178件(回収率70.7%)子育て支援事業:45/85件(回収率52.9%) 共同募金の配分を受けた活動が、共同募金が目指している「自分のまちをよくするしくみ」づくりにどのような効果をもたらしているかを評価してもらった。評価シートは次の項目で構成して、回答を5段階で数値化して分析した。平成20年度から平成22年度までの共同募金がソーシャル・キャピタル形成に寄与する効果を時系列で分析すると、平成20年度と21年度では、町内会、地区共同募金会、地区社会福祉協議会以外の他団体とのネットワークの構築についての効果は認められなかったが、平成22年度の助成を受けた活動では、他団体とのネットワークが高まっている。このことから、申請段階で対象となる活動が単に備品を購入して終わるのではなく、共同募金の配分助成を地域づくりにどのように活かしていくのかなどを記したパンフレットの工夫や、説明会の開催などの介入により、共同募金のこれからの役割についての理解が高まり、共同募金と地域福祉の推進を結び付けようとする意識が向上したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、共同募金による配分を受けた活動が、地域のソーシャル・キャピタルの形成にどのような効果をもたらすのかを検証することにある。平成22年、23年度研究までで、配分を受けた団体の目的の達成度、他団体や地域との交流の状況を調査により明らかにすることができていることから、共同募金とソーシャル・キャピタルの関連性がある程度検証できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、本研究の最終年に入る。平成24年度の研究では、実際に仙台市内5区を対象にして、ソーシャル・キャピタルの測定を試みる予定で、この測定を実施することにより、共同募金の募金額とソーシャル・キャピタルの関連性を分析が可能になる。また、本研究で検討した仮説モデルの妥当性が検証できると考えている。
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