平成24年度では、共同募金の助成と地域社会のソーシャル・キャピタル(以下SC)の関連性を検証するために仙台市の5区においてSCの測定を行った。各区毎に400名を住民基本台帳より無作為抽出し郵送法による調査を実施し、回答は477件(23.9%)であった。 本研究ではSCを信頼と社会参加で構成して、「近所の人たちを信頼できる」と回答した者は77.6%、町内会活動に参加しているのは49.1%であった。 平成21年度と平成23年度の仙台市内5区における一人あたりの募金額とSCの関連性についての相関分析ではそれぞれに有意な関係は認められなかった(平成22年度については東日本大震災の影響を考慮して分析からは除外)。 一方で、平成23年度に開発した共同募金の配分による効果測定シートによる評価では、共同募金の配分を受けた団体において他団体とのネットワークが高まっていることが検証されていることから申請段階で対象となる活動が単に物品購入に終わるのではなく地域のネットワーク作りにつながるように配分申請団体に対する説明会への出席を義務付けたり、パンフレットの工夫するなど積極的なアプローチが共同募金の新しい役割を市民に浸透させることが示唆された。 共同募金が地域社会の良質な資源を拡大するソーシャル・キャピタルとしての役割を担い地域づくりの開発的な機能を持ち、市民、組織、地域間のネットワークを強化した活動に配分することへの理解を高めることが今後の重要な課題である。共同募金が「コミュニティ・ファンド」の役割を果たすためには「集めて配分する」という現行のスタイルから、地域の具体的な課題を解決するためのテーマを設定して市民が賛同して募金をする「テーマ設定型」募金形態への転換が必要であるとともに、配分を受けた組織の活動が地域の課題解決という目標をどれだけ達成しているかのモニタリングすることが不可欠である。
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