研究課題/領域番号 |
22530619
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
岡部 造史 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (40570627)
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キーワード | 児童福祉 / 児童保護 / フランス / 近現代史 / 児童労働 / 母子保健 |
研究概要 |
本研究の目的は、第三共和政期(1870-1940年)における児童福祉政策の展開のプロセスを、現場担当者の動きと政策そのものの変化の二点に注目して実証的に解明することでしたが、平成23年度については下記の研究成果を得ることができました。 1.児童労働規制の検討の継続 このテーマにつきましては、4月に研究会での発表をおこないました。その時に受けた批判やアドヴァイスをもとにした論文構成の練り直しや史料の読み直しをおこなうのに時間がかかりましたが、年度末から再び論文としてまとめる作業をおこなっており、まもなく完成する予定です。論文の成果としては、現場のアクター(労働視察官)の活動を読み解くことによって、フランス近現代史における児童労働規制のより積極的な意義を示すことができたものと考えております。 2.母子保健制度の成立に関する検討の着手 平成23年度は、このテーマに関する検討を始めました。具体的には9月にフランス・ずトゥルコワン市での2週間の史料収集をおこない、この地域の20世紀前半における母子保護事業に関する研究文献および史料を入手してきました。その後12月に口頭発表をおこない、当時の民間母子保護事業の活動内容などに関する予備的な考察をおこないました。また3月末には、この母子保護事業が全国的な政策に与えた影響を検討するために、国内の大学での史料調査をおこない、母子福祉などに関する議会史料を収集しました。 ※なお、当初予定していた「家族政策への移行のプロセスの検討の継続」については、十分に作業を進めることができませんでした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
問題設定などの面で児童労働規制に関する内容を論文化するのに予想以上に時間を要したこと、 また、母子保健制度の成立に関する検討では史料自体は豊富でありながら、民間事業の活動や関係者の意図を示すものがこれまでの段階で予想以上に少なかったことなどがあげられます。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もフランスでの史料収集を予定していますが、基本的にはこれまで収集した史料の分析が中心となります。 これまでの作業が遅れているので、作業効率を高めることにより一層努力をしたいと思います。 なお、研究計画調書における「児童福祉の変容に関する検討」については、問題設定上の理由から今年度における作業を見送る可能性が出てきましたが、現時点ではまだ決定しておりません。
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