日本とイギリスの福祉サービスの歴史を公私関係の視点から比較検証した結果、民間社会事業が公的なサービスを補完する役割を果たしてきた日本と、ボランタリー部門が公的部門と一定の排他的関係を維持しながら発展してきたイギリスでは大きな差異があることが明らかになった。また、そのことが今日展開されている地域を基盤とする福祉サービスにおいても、重要な問題点であることが判明した。とりわけ日本の場合、その歴史的背景を踏まえると、しばしばボランタリー部門が公的部門の「下請け」となっており、改めて公的部門とボランタリー部門の責務を明確化し、双方の独立性と対等性を確保する施策が必要であることが認識された。
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