本研究は、法制度化されている韓国の社会企業と日本の一部の自治体で制度化されている社会的事業所の経営実態などを明らかにするとともに比較研究をする。そして日本型の持続かつ発展可能な社会的企業のあり方について、具体的な政策提言を取りまとめることを目的としていた。 本年度は最終年度となるため、まとめにあたっての補足的な調査研究を重点的に行うことにした。 その一つは、高齢化率の高い団地という地域の特性をふまえ、空室利用や精神障害者のみならず高齢者とのミックス雇用で社会的企業として成功例で高く評価されている事業所を視察し、健康食品の開発によるレストラン経営者などの創意工夫についてヒアリング調査を実施した。 その二つには、韓国のソウル市のソンミサンという地域で、住民が連帯して共同出資で協同組合をつくり、社会的企業を起業化し、ソーシャル・インクルージョンを図るとともにコミュニティづくりをしている事例について、視察をしヒアリング調査を実施した。 「住民が必要なものを自ら手をあげ資金を出し、運営までしてしまう」、「まちの社会起業がどんどん生まれるコミュニティといわれ、ソウルで住みたいまちのNO1の人気があると評価されている。 本年度の調査研究は、このような社会企業とコミュニティとの関係や成功にいたった創意工夫について資料収集に重点をおいた。今後、これまでの調査研究をもとにさらに研究成果としてまとめていく予定である。
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