研究概要 |
3年間の研究計画の内、本年度は、『腰痛と心理的要因の関連性』に関する基礎調査を行った。具体的には、介護現場の職員の腰痛の状況と以下に示す種々の心理要因の調査を実施した。同時に、相撲エクササイズ、立教式エクササイズ、従来型腰痛改善エクササイズの3種類のエクササイズをそれぞれ別々の介護機関にお願いして、介護職員に実施していただいた。また特にエクササイズを実施しない介護機関を設け、統制群として心理調査のみ実施した。 被験者は242名(男性77名、女性165)の成人であった。これらの被験者に対し、腰痛の有無の調査、ならびに4種類の心理検査を実施した。それらの心理検査とは、Big 5 scale, Daily Hassles Scale, SRS18, Purpose in Life testsの4項目であった。それらの心理検査は、以下の心理傾向を判定するものである。(1)Big-5 scaleは、外向性や協調性などのパーソナリティを判定する。(2)Daily Hassles Scaleは、日常の苛立ち事の度合いを(hassle state)判定する。(3),SRS18は、不安や怒りなど日常生活のストレスを判定する。(4)Purpose in Life testsは実存的空虚感を判定する。 結果として、腰痛と心理的要因の関連性に関して、今回測定した4項目全ての心理指標で腰痛との関連性が検出された。これらの結果は、全般に、不安や怒りなどが少なく望ましい心理状態にある者は、腰痛の程度が小さいことを示唆するものであった。 この結果をふまえ、またこれから分析される各エクササイズの腰痛改善効果を合わせて検討し、今後の2年間で、心理的介入などを含めた腰痛予防、改善の有効なる方法の開発に努めたい。
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