研究課題
本研究の目的は、児童養護施設等社会的養護を受ける児童の非行化に対して社会福祉と司法がいかに協働して支援するかを明らかにすることであった。本年度は、1回の事例検討会・研究会を実施したほか、研究者全員で3年間の研究をまとめる作業を行った。3年間の研究の概要は、次のとおりである。第一に、研究代表者ほか5人の分担研究者は、この研究目的に沿った各自のテーマを定め研究に取り組んだ。被虐待児の非行についての少年裁判例分析(藤原)、施設で生活する児童の発達障害と非行(橋本)、施設でのペアレントトレーニングの実践(村尾)、児童自立支援施設と児童養護施設の支援の差異(小林)、施設と児童の精神保健上の問題(松原)、非行児に対する児童相談所と施設の協働(遠藤)であり、各研究者はこのテーマに関する学会発表、論文公表等に取り組んだ。第二に、児童養護施設で生活する児童の非行事例の検討を、施設長、施設職員(児童指導員、心理職)、児童相談所職員(児童福祉司、児童心理司)等に出席を求めて8回実施し、その内容を整理した。施設児の典型的な非行問題は、児童養護施設に非行性のアセスメントが不十分なまま被虐待で措置された児童によるもの、被虐待で乳幼児期に措置され施設生活が長期間にわたる児童によるものの2つのタイプに分けられる。成長発達に伴い、養育者への幼児的な反抗・不服従、児童集団での粗暴行為→前非行の反復→必ず司法機関が関与する非行、という流れを想定することができる。施設の支援にとって重要なのは前非行への対応である。しかし、この段階では施設職員の対応の自由度が大きく、組織的指導が難しい。施設内における非行予防をいかに行うかが今後の研究課題として残った。研究成果として「被虐待児の非行化への対応における社会福祉と司法の協働に関する研究」(平成25年3月)を公表している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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司法福祉学研究
巻: 12号 ページ: 82-100
心理臨床学研究
巻: 30-1 ページ: 17-28
巻: 12 ページ: 64-81
立正社会福祉研究
巻: 14-1 ページ: 25-33