研究課題/領域番号 |
22530647
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
望月 昭 立命館大学, 文学部, 教授 (40129698)
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研究分担者 |
朝野 浩 立命館大学, 教職教育推進機構, 教授 (70524461)
藤 伸子 立命館大学, 応用人間科学研究科, 教授 (30388102)
宮浦 崇 立命館大学, 教職教育推進機構, 講師 (30509295)
中鹿 直樹 立命館大学, 文学部, 講師 (20469183)
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キーワード | 継続的就労 / 継続的支援 / 「できますシート」 / 他立的自律 / ポートフォリオ / 被援助者中心 / 当事者中心 |
研究概要 |
当研究は、障害のある個人の継続的就労を可能にする継続的支援のための方法を実証的に検討することを目的としている。今年度(22年度)には以下の研究を行った。 1) 障害のある生徒(成人)の、ライフスパンを縦断した継続的支援に必要な連携や情報共有システムの実例について、京都市に限らず文献や訪問によって全国を探索した。その結果、現在、既存の情報システム(「個別の教育支援計画」など)と新しい「サポートファイル」等のシステムが並走していること、その両者の連携性がまだ不十分である傾向にあることが示された。 2) 継続的就労支援に必要と思われるポートフォリオの作成の実証的検討が行われた。特別支援学校高等部の複数の生徒を対象に、一般事業所および学内に設置された「擬似的店舗」における就労実習の実施の際に、所属学校教員、当事者、保護者、大学関係者(学生ジョブコーチ、教員)が、協同で当事者の「できる」を累積記述ができる「できますシート」(申請書における「キャリア・パスポート」に対応)の制作やその機能を探索的に検証した。擬似店舗における構造的環境のもとで、当事者に可能な「できる」(援助つきで行動成立:「他立的自律」)について新たな記述が可能になることが示された。 1)2)を通じて、個人がみずからのポートフォリオの作成に参加し、またその管理も当事者中心に行うための情報システムの構築、またそうした作業そのものを支援する人的支援の必要性も顕在化したといえる。連携や情報共有・移行のシステムは、当事者を共通の話題としても、ともすると援助者中心の連携になりがちである。そのような事態を「被援助者中心」と呼ぶならば、本来的な意味での「当事者中心」となるシステムに転換していく必要がある。
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