平成24年度は、これまでの議論の成果を整理した上で、法律と社会福祉、理論と実践における視点の共通点と相違点、また今後の課題を共有することを目的に、シンポジウムを開催した。(『その人らしい生き方を支える ~ソーシャルワーカー ・ 法律家と権利擁護~』(2012年12月16日) 3年間の研究により、概ね以下のことが明らかになった。「アドボカシー」は、日本では「権利擁護」と同義とされることが多いが、「人権」や「権利」などと同様にその内容を十分に吟味されずに使用されることも多い。これらの内容を原理論的レベルで規範論として語る場合と、制度や実践の視点から語る場合によってその論点は異なり、更に学問領域による違い、一つの学の中においても内部で様々な議論が存在するため、学際的な共通認識に至るにはかなりの困難を伴う。実務的には「権利擁護」は、ソーシャルワーカーにとっても法律家にとっても重要な共通目標であるには違いないが、理論的には主に以下のような論点が注出された。 (1)「権利」と「人権」の定義 (2)「権利擁護」の定義 (3)議論の視座としての制度と実践 (4)機能・方法論としての法律学とソーシャルワーク(5)法の世界における判断基準 (6)生活支援場面における支援の適切性、妥当性(7)ミクロレベルのアドボカシーとマクロレベルのアドボカシー(8)成年後見制度における民法上の矛盾 (9)ソーシャルワークにおける実践現場での課題(10)その他
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