研究課題
平成23年度の成果は、労働党政権下の15年間の地域再生の総括をしたことである。毎月1回研究会を開催し、近隣地域レベルにおけるソーシャル・インクルージョンに向けた意思決定構造を分析した。その成果は、山本隆「イギリスにおける貧困への視座と対策-労働政権時代の貧困・地域再生政策の検証-」(『海外社会保障研究』No.177、15-30)である。研究者の招聘プログラムとしては、11月15日~21日にポーツマス大学名誉教授ノーマン・ジョンソン氏を招聘し、一般講演会と研究会を行った。政権交代後の地域再生の新たな動向、地域再生に絡むボランタリー・コミュニティ・セクターの動向などの知見と情報を得た。11月24日には尼崎市生活保護課西田和夫氏からヒアリングを行い、同市における貧困と生活保護に関する多くの情報を得た。国内調査としては、7月29日に、山本隆と山本惠子が「1%支援制度とローカル・ガバナンス」に関するヒアリング調査を目的として千葉県市川市企画部ボランティア・NPO課を訪問し、ヒアリングを行った。2012年3月10日には、山本隆が横浜市の若者支援団体K2を訪問し、貧困に陥っている若者の自立支援策、貧困予防策について調査を行った。海外調査では、3月20~28日に英国を訪問した。訪問先はソーシャル・エンタープライズ・ロンドンとヤング財団で、ロンドンのランベス区の職員とのヒアリングも実施した。またミドルセックス大学を訪問し、近隣地域レベルにおけるソーシャル・インクルージョンを研究しているスティーブン・スィレット教授のヒアリングを行った。この訪問によりスィレット教授の研究グループとのパイプを構築することができた。ロンドンでは、社会的企業が貧困対策においてどの程度成果をあげているかを調査した。
2: おおむね順調に進展している
英国の調査は順調に進んでいる。日本の貧困調査をさらに進めていきたい。
平成24年度では毎月開催のローカル・ガバナンス研究会を通して,日英ともにネイバーフッド・レベルの地域再生とガバナンスの関係を分析する。9月にはロンドンのランベス区とリバプールで調査を行う。メンバーは山本隆,山本惠子。これまでの貧困対策の成果を明らかしに、貧困対策の変化やコミュニティワークの現状も調査する。日本調査では,貧困の集中度の計測とその要因分析を行うため,尼崎市の継続調査を実施する。最終年度であるため、研究の成果を論文にまとめる予定である。
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海外社会保障研究
巻: No.177 ページ: 15-30
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要
巻: 第15巻第1号 ページ: 9-18