55名の知的障害をもつ人々の語りを分析すると、学齢期や一般就労時における体験に大きな違いは認められなかった。しかし、福祉サービス利用時において、その形態の違いにより、通所施設の場合は安心感を獲得し、長期の入所施設では人生の目標を失い、グループホームでは自立する自己を認識するようになるという違いがみられた。 自己の障害を認識していたのは70%だったが、その事例から、障害に対する意味付けは、周囲の人々との関係性の中で形成され、変化するものであることが理解された。即ち、現在の生活に満足し肯定的な自己認識を持つ人は、自己の障害に肯定的な意味付けをし、否定的な自己認識の人は否定的な意味付けをしていた。
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