研究課題
平成23年2月、中国残留孤児帰国者が集住する京都市小栗栖地区と、在日コリアンが集住する東九条地区においてアクション・リサーチを行った。外国人福祉委員をはじめ、学生らが民生委員や老人福祉委員とともに戸別訪問をして、40~60分の聞き取りを行った。小栗栖地区では、120人のデータを回収した。東九条は、山王学区では住民の協力により225人のデータを回収した。陶化学区では、聞き取った者は175人であった。そのうち在日コリアン高齢者は43人、帰化した者2人であった。5月に同じ調査票を使って、民族団体会員向けの調査を行い、64人のデータを回収した。生活の幸福感を7段階で答えてもらったところ、どちらかと言えば不幸と答えた者は、日本人で6.4%、中国帰国者で10%、コリアンで20%だった。これに対して、どちらかと言えば幸福と答えた者は、日本人で44.5%、コリアンで35.7%、中国帰国者で10%であった。中国帰国者の厳しい状況がうかがわれる。幸福感との多変量解析から、老人福祉員を知っていることが、幸福感と深く関連することが明らかとなった。また、外国人福祉委員制度の重要性が浮かび上がった。当該委員と民生委員、老人福祉員、NPO、行政、大学の連携を進め、地域活動主体のネットワーク形成を図っていく必要性が確認された。また、小栗栖の調査を契機に、習慣が違うため、引きこもりがちの中国帰国高齢者を対象に、帰国者の2世・3世とともに、誘いかけて集まる会が創設され、NHKテレビや京都新聞に取り上げられた。平成24年度は、京都市、宇治市、八幡市の民生児童委員の悉皆調査を行い、①自治会運営のノウハウの開発、②住民による高齢者見守りと福祉サービス機関、警察や消防署との連携の仕組み作り、③離れて暮らす子どもとの連携の仕組み作り、などに大学や学生が住民主体で協力していく必要性が明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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立命館産業社会論集
巻: 48巻3号 ページ: 19-40