本研究の目的は、一次予防事業対象者に対する介護予防サービスにおいて、市社協や地域包括支援センターのソーシャルワーカー(以下SWr)がソーシャル・キャピタル(以下SC)の構成要素である「地域のボランティア」(町内会・自治会活動等を含む)や「NPO法人」の活動等を発掘し組織化等を行うことによって地域レベルのSCを構築していく事が、介護予防サービスにおけるSWrの重要な役割であるという仮説を、実証的に検証していく事にある。昨年度までの研究で、地域レベルのSCを構築していく具体的方法として、先行研究(福島2009、福島2011、等)に基づき、SCの代表的な下位概念である結合型SC(ボンディング型SC)の構成要素の1つである「町内会・自治会」組織と、橋渡し型SC(ブリッジング型SC)の構成要素の1つである「NPO法人」の活動をつなぎながら介護予防サービスをSWrが行っている自治体を、本研究の新たな調査対象地とするべきことを定めた。 今年度は、全国47都道府県の社協を対象として自記式アンケート調査を行い、「自治会」と「NPO」をつなぎながら介護予防サービスを行っている自治体が実際に存在するか否かを調査した。その結果、抽出された4自治体で行った事例研究の結果を、日本地域福祉学会で発表した。更に、「町内会・自治会活動(結合型SC)とNPO法人の活動(橋渡し型SC)をSWrがつなぎながら介護予防サービスを行っている自治体」のうち2地区と、統制群として「町内会・自治会とNPOをつないでいない地区」1地区の総計約1000人の健康な高齢者を対象として「主観的健康感、転倒歴、認知症の傾向、性別、年齢、既往歴、教育歴、一般的信頼、会への参加等のSCに関する項目」等を調査するための自記式アンケート調査を留め置き法(1部郵送法)によって行い、その結果を相関分析とロジスティック回帰分析によって分析した。
|