研究概要 |
サスティナビリティ(持続可能性)とは、「人間活動、特に文明の利器を用いた活動が、将来にわたって持続できるかどうかを表す概念」とされる。サスティナビリティや関連する教育プログラムの開発の基本には、サスティナビリティに関連する個々人の心性の解明や、サスティナブルな行動への動機づけを促進させるプログラムの開発が不可欠であると考えられる。そうした意味で、サスティナビリティ研究には、心理学者の関与が重要な意味をもつと考えられるが、現状ではきわめて限られた関わりに限定されているように見受けられる。本研究では、Corral-Verdugo,et.al.(2010)等の先行研究等を参考に、筆者がこれまで研究を続けてきたポジティブ心理学的立場を背景としつつ、サスティナブルな心性と行動の関連について心理学的な検討を行い、将来的にはサスティナブルな行動を促進するためのツールの開発を目指す。本年度は、背景となるポジティブ心理学やwell-beingとサスティナビリティの関連について、韓国心理学会や日本心理学会のシンポジウムで発表を行った。また、サスティナブルな心性や行動を抽出するための予備的検討を行うために、東北地方の大学生217名とその両親や知人105組に調査を行い、社会人サンプルとして72組104名のデータを収集した。結果については現在解析中であるが、社会人サンプルの因子分析では、サスティナブルな心性として5因子、サスティナブルな行動として6因子を得ており、心性と行動の関連は高く、同時に回答を求めたHuman Strengthsとは異なる関連を示すことなどが明らかにされている。これらの成果については、平成23年度に複数の学会で報告する予定である。
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