研究課題/領域番号 |
22530668
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
堀毛 一也 東洋大学, 社会学部, 教授 (10141037)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | サスティナビリティ / ポジティブ心理学 / sustainable well-being / subjective well-being / 東日本大震災 / 震災前後の比較 / ウェル・ビーイング |
研究概要 |
本年度は、サスティナビリティに関連する心理学的な研究の整理と、サスティナブルな心性・行動を測定する尺度の最終的な整備を行った。まず前者については、様々な文献収集を行った結果、ここ数年の動向として、環境心理学を中心に、サスティナブル・ウェル・ビーイングという概念が提唱され、研究が進展しつつあることが明らかになった。そこで、従来のポジティブ心理学における主観的ウェル・ビーイングの考え方を取り入れながら、概念的な対比や、研究の方向性についての論考をまとめ、論文として発表した(「季刊・環境研究」所載)。後者については、昨年末に上梓した論考をもとに、ヨーロッパ・パーソナリティ心理学会で「サスティナブルな心性・行動の個人差に関する予備的研究」という表題のもと発表を行い、関連領域の研究者と論議した。また、その成果を生かし尺度内容を最終的に確定するために、25年1月に岩手で第3回の調査を行った。結果は現在解析中で、本年度の学会で最終的な尺度内容について報告するとともに、サスティナビリティの発見・促進ツールとしてWebによる調査に内容を反映させ、その有効性や妥当性を検証してゆく予定である。これとは別に、研究遂行過程で発生した東日本大震災の影響も、サスティナブルな心性や行動と深く関連すると考え、第1回調査(震災前)と第2回調査(震災後)に含まれていた主観的ウェル・ビーイング尺度とサスティナブルな心性・行動の変化との関連について、正の関連がみられることを中心に日本社会心理学会で報告を行った。また、震災被害とウェル・ビーイングの関連についても、震災後に被災三県(岩手・宮城・福島)では、ウェル・ビーイングが顕著に低下していることを示す知見などを中心に論考をまとめ発表した(「現代人のこころのゆくえ」所載)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、本年度中に「サスティナビリティ・ファインダー」と仮称する、サスティナビリティ発見・促進ツールの開発に着手する予定であったが、東日本大震災と所属の異動の関係で、約半年にわたり研究が手につかず、全体の進捗状況に遅れをみている。ただ、25年1月の調査でサスティナブルな心性・行動に関する尺度の整備は完結する予定であり、25年度中にツールの開発、施行も見込めるので、次第に遅れは取り戻せていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、1)サスティナブルな心性・行動尺度の確定、を行い、それをもとに、2)「サスティナビリティ・ファインダー」の開発に着手・完了させ、12月をめどに、3)web調査によるその有効性や妥当性の検討を開始する予定である。これまでの成果については、アメリカで開催される国際ポジティブ心理学会で発表する。この大会はサスティナビリティを中心的なテーマのひとつとしており、多くの成果が得られることが期待される。この他、国内外で開催される学会でも成果発表に務め、研究内容の充実を図る。
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