研究課題/領域番号 |
22530670
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
福島 治 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40289723)
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キーワード | 自己表象 / 他者表象 / 自己認知 / 特性情報 / 特性判断 / 自己概念 / 対人関係 |
研究概要 |
本研究の目的は、自己と他者の特性情報集合間の認知的リンクを明らかにすることであった。人々は異なる他者との間では異なる相互作用を展開することから、自己の特性概念の集合は、他者を条件として相互に独立的な部分集合によって構成されると仮定した。そして、その部分集合内の要素は、それと対応する他者に関する特性概念の使用によって利用可能性が高まることの検証を試みた。 実験では、他者(例:父)について特性語(例:神経質な)のあてはまりを判断した後に、同じ他者について事物(例:手帳)との関連性を判断した後よりも、この他者を条件とした自己(例:父といる自分)に関する特性判断が促進されると予想された。前年度は、必ずしもそのような結果は得られなかったが、実験の刺激語を変更したところ、部分的には予想と一致する結果が得られた。しかし、確実な再現性を得るには、いま少し実験を繰り返す必要がある。また、実験と並行して進めていた質問紙を使った自己概念の研究では、他者を条件とした自己概念のばらつきの大きさが自己愛という個人差要因と関連することが見出された。この研究では、いくつかある自己概念のばらつき(他者を条件とした自己概念の内容が異なる程度)の指標についても検討され、最も適するのは、条件ごとの評定の標準偏差に基づいて作られる指標であることも判明した。 自己愛のような個人差要因が、特性情報集合間の関係を規定することも考えて、実験の材料やデザインを構成することが重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他者を条件とした自己の特性判断を行う実験において、事前にその他者の特性判断を行った場合に反応速度が速まった。この結果は、予想と一致している。対象とする他者によってはその効果がみられない場合もあったが、これは予想の範囲内のことである。
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今後の研究の推進方策 |
事前に他者の特性判断を行った後で、その他者を条件とした自己の特性判断の遂行速度は高まるが、対象とする他者によってはその効果がみられないこともある。その理由を探求することが今後の方針となる。どの他者に効果があるのかは、他者そのものというよりも、他者をどのように認知するかという個人差の問題が関連すると見込んでおり、他者認知に特徴のある自己愛のような個人差変数に焦点を当て、質問紙なども併用して予備的検討を進めている。
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