研究課題/領域番号 |
22530672
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
戸梶 亜紀彦 東洋大学, 社会学部, 教授 (60264917)
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キーワード | 動機づけ / 感動体験 / 労働価値観 / 就業形態 / 勤務年数 / 組織への意識 |
研究概要 |
本年度はまず、昨年度から行っている面接調査に関して、さらにデータを増やし、限られた人々から得られた質的データにおいて見落とした重要な要因がなかったかどうかについて検討を行った。見落としについての確認の後、質的データから得られた動機づけ向上体験をより印象深く感動的なものとする条件として抽出された要因について、それらが本当に一般的にみて重要な要因であるかどうかを検証するため、全国規模のインターネット調査を実施した。なお、インターネット調査の前に、得られた要因に関する一般性および表現などについて、数名の社会人に対してヒヤリングによる確認を行った。こうのようなプロセスを経て、就業形態、性別、年齢、勤務年数、職種などの属性、職場での事象の認知に影響を及ぼすと考えられる仕事に対する価値観を測定するための労働価値観測定尺度(江口・戸梶,2009)、動機づけ向上体験を効果的にするための諸要因などを調査項目とした調査を実施した。調査対象者の選定は、入社後3年未満の社会人(正社員100名、派遣・契約社員100名)、入社後3年以上の社会人(正社員100名、派遣・契約社員100名)、アルバイト・パート社員100名とし、計500名を調査会社にオーダーした。なお、厚生労働白書の統計データと整合させるため、対象者の年齢は18~34歳までとした。また、各都道府県におけるデータは、おおよそ労働人口の割合に準じたものとなるよう依頼した。得られたデータの分析結果から、性別、就業形態、勤務年数の違いによって、労働価値観(働く上で何を重要視するか)に相違のあることが認められた。特に、組織への意識や社会に対する意識が異なっていた。これらの結果に基づいて、現場での応用について平成24年度に検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビュー調査から得られた質的分析の結果、当初は共分散構造分析によるモデル作成を想定していたが、実際にはそれほど単純なものではなく、概略的な概念モデルとなりそうではあるが、職場での体験をより感動的にする要因はいろいろと見出されており、全体としてほぼ予定どおりの進捗となっているため、達成度を(2)と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまでに見出された結果を実際に現場の文脈に落とし込み、研修または教育という形で実践的に検討する予定である。その際に、協力企業に合わせる必要があるため、その方法を模索することに時間を要すると考えられる。その辺りは、現場の方々に知恵を借りながら、実証研究を行えるようディスカッションを繰り返し行って対応していく予定である。
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