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2011 年度 実績報告書

システム再生産に寄与する心理メカニズムの検討-社会変革の促進に向けて-

研究課題

研究課題/領域番号 22530675
研究機関首都大学東京

研究代表者

沼崎 誠  首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (10228273)

キーワードシステム正当化 / 偏見 / ステレオタイプ化 / システム脅威 / ジェンダー・ステレオタイプ / 存在脅威管理理論 / 性役割的偏見 / 職業ステレオタイプ
研究概要

本年度においては,システム再生産に寄与する心理メカニズムとして,A)システム正当化動機と文化的世界観防衛動機との相違 B)東日本大震災というシステム脅威が性役割的偏見に及ぼす効果,を取り上げ検討した.
A)に関わる研究として,死すべき運命の顕現化が社会的役割に応じた相補的ステレオタイプの適用を変化させるか,複数の実験を行い検討した.死すべき運命の顕現化を操作して学歴ステレオタイプの適用を測定した実験では,死すべき運命が顕現化すると,「学力は高いが社会スキルが低い」という高偏差値大学生ステレオタイプと「学力は低いが社会スキルは高い」という低偏差値大学生ステレオタイプ,の適用が弱まることが見いだされた.この結果は,前年度行ったシステム脅威とは全く逆の結果であった.システム脅威か死すべき運命の顕現化を操作して,男性サブカテゴリー(社会的に成功した仕事志向の男性vs.リストラにあった専業主夫)へのステレオタイプ適用を測定した実験でも,上記と同様のパターンが見られた.これらの結果は,システム脅威と死の脅威が異なった対処を必要とする異なった脅威であることを示唆している.
B)に関わる研究として,複数の大学の男女大学生を調査対象者として,日本システムへの大きな脅威である東日本大震災から約1ヶ月後の4月に性役割的偏見に関する複数の尺度に回答させた.このデータを過去3年間の4月に同じ複数の大学の男女大学生から得られていたデータと比較した.結果として,平等主義的性役割観の上昇が複数の大学で見られていた.この結果に関しては,今年度においても同様の調査をおこない,どのような変化が見られるかのデータを見た上で考察をおこないたい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では昨年度実施する予定であったシステム肯定化の実験は,東日本大震災という日本に対する大きなシステム脅威のため実施困難となり行うことができなかった.しかし,このシステム脅威を利用した,研究の目的に沿った,代替調査を行った.

今後の研究の推進方策

当初の計画では昨年度実施する予定であったシステム肯定化の実験を今年度おこなう.また,昨年度の実験結果から男性サブカテゴリーに関して興味深い結果(システム脅威と死の脅威ではステレオタイプ化に対して全く逆の効果を持つ)が得られたため,このような効果が得られた原因に関して,実験刺激を変えてさらに検討する.これら実証研究を踏まえた理論的検討によって,当初の研究目的を達成する.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 死すべき運命の顕現化と博愛プライムが内集団ひいきに及ぼす効果2012

    • 著者名/発表者名
      沼崎誠・天野陽一・石井国雄・廣瀬綾乃・高林久美子・埴田健司
    • 雑誌名

      首都大学東京東京都立大学人文学報

      巻: 455 ページ: 15-28

  • [雑誌論文] 自己価値への脅威が男性のジェンダーに関する潜在的態度に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      石井国雄・沼崎誠
    • 雑誌名

      社会心理学研究

      巻: 27 ページ: 24-30

    • 査読あり
  • [学会発表] 異性愛の顕現化が女性への相補的な対人認知に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      天野陽一・沼崎誠・高林久美子・石井国雄・佐々木香織・松崎圭佑
    • 学会等名
      日本社会心理学会第52回大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] システム脅威が偏差値に基づいた大学ステレオタイプに及ぼす効果-高偏差値大学の学生を参加者にした検討-2011

    • 著者名/発表者名
      沼崎誠・石井国雄・高林久美子・埴田健司
    • 学会等名
      日本社会心理学会第52回大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2011-09-18
  • [学会発表] 人権プライミングがヒューリスティクスを用いた判断に及ぼす影響-マインドセットプライミングからの検討-2011

    • 著者名/発表者名
      松崎圭佑・沼崎誠
    • 学会等名
      日本社会心理学会第52回大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2011-09-18
  • [学会発表] システム脅威が偏差値に基づいた大学ステレオタイプに及ぼす効果2011

    • 著者名/発表者名
      沼崎誠・石井国雄・高林久美子・埴田健司
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 死すべき運命の顕現化と博愛プライムが外国人偏見に及ぼす効果2011

    • 著者名/発表者名
      沼崎誠・天野陽一・廣瀬綾乃・石井国雄・高林久美子・埴田健司
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会第58回大会
    • 発表場所
      昭和女子大学
    • 年月日
      2011-08-24

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公開日: 2013-06-26  

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