研究課題/領域番号 |
22530676
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
外山 みどり 学習院大学, 文学部, 教授 (20132061)
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研究分担者 |
太田 信夫 学習院大学, 文学部, 教授 (80032168)
山田 歩 青山学院大学, ヒューマン・イノベーション研究センター, 研究員 (00406878)
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キーワード | 社会的認知 / 帰属過程 / 因果推論 / プライミング / 意識・無意識 |
研究概要 |
誤帰属とは、事象の原因を真の原因でないものに帰属するという現象であるが、特に、自分が感じている内的な感覚の原因を誤認し、それによって当面の対象に対する社会的判断に歪みが生じることが知られている。本研究では、真の原因である刺激の顕在性・潜在性、推論過程自体に関する意識的な気づきを中心にして検討を行うことを目的とする。 平成23年度には、2つの方向から実証的な研究を行った。1つは、研究代表者の外山が行ったプライミング効果に関する実験である。具体的には先行課題で言語刺激に曝されることによって生じた次元の活性化が、後続の因果推論に及ぼす影響を吟味した。まず潜在実験においては、先行課題で言語刺激を閾下で呈示するが、刺激の内容には人の特性を表す語が多く含まれる特性条件と、状況を連想させる語が多い状況条件の違いがあった。実験参加者は後続の課題で刺激文を読み、それに対する因果推論・人物評定を行った。顕在実験においては、先行課題で、潜在実験と同じ刺激語を五十音順で並べ替える作業をした後に、同一の刺激文に対する因果推論と人物評定を行った。結果としては、潜在実験の場合には測度によって結果がまちまちであり、予測を支持する結果は得られなかった。顕在実験の方は、先行刺激で人の特性を活性化した条件の方が、後続課題で個人の側の内的要因を強調し、状況を活性化した条件では状況への帰属が強いという傾向がある程度見られたが、十分な統計的有意性には到達しなかった。結果の解釈と方法の改善が24年度の課題となる。 もう1つの実験は、研究分担者の山田歩が行ったもので、選択の際に示される選択肢やデフォルトの値によって、選択が大きく変動するという現象を検討した。これは選択者本人が明確に意識しないままに生じる現象であり、市民レベルでのさまざまな意思表示や商品の購買・選択にも影響を与える重要な問題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画自体は、当初の予定通り、おおむね順調に進展している。ただし、外山が行っている実験は予想通りの結果が十分得られておらず、問題の再検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も当初の計画に従い、研究を続行する。予想される実験結果が得られていない点に関しては、実験参加者にとって課題がやや難解である可能性があり、今後はそれを改善する予定である。
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