1.実験室実験の計画ならびに実施(研究1) 自己関連情報の処理時の感情状態の役割に関して、これまでの研究で未検討であった研究結果の解釈可能性ならびに情報処理過程に対する詳細な検討のため、実験室実験を計画し実施した。 実験では、感情状態と自己関連情報への関与度を操作し、情報の処理過程と程度に関して測定した。参加者には2つの課題への参加を依頼し、ひとつめの課題としてパソコン画面上でパーソナリティテストを実施した。その際、テストに関する教示により関与度の高低を操作した。続けて別の課題として映像刺激を呈示し、ポジティブもしくはネガティブな感情状態を導出した。次に、実験プログラムにより、パーソナリティテストの結果を偽フィードバックして参加者が各情報を注視した時間ならびに注視した情報個数を記録した。実験には大学生男女41名が参加した。 現在、実験データの入力ならびに分析中であり、実験結果は本年度の学会大会(日本社会心理学会第52回大会もしくはSociety for Personality and Social Psychology第13回大会)にて報告予定である。 なお実験実施にあたり、主に刺激呈示のためのパーソナルコンピュータの購入、実験プログラム作成者への謝金等の実験準備、また実施を担当した実験者への謝金等に研究費を充当した。 2.質問紙実験の準備(研究2) 平成23年度に予定している質問紙実験の準備として、感情操作刺激として用いるコラム内容ならびに従属変数の項目に関して検討した。 3.感情制御に関する研究知見のレビュー 本研究のテーマである感情価と感情制御の問題等に関する研究知見をまとめ、本の一章として執筆した(感情とその制御、日本認知心理学会(編著)村田光二(編)社会と感情(現代認知心理学第6巻)。
|