相手の立場に立って考えること自体は一般に望ましいこと認識されている。しかし,これまでの研究からは,そのような思考が逆に否定的な効果をもたらすことが指摘されている。そこで,素朴に相手の立場に立って考えることがその後の思考や判断に否定的影響をもたらすことを確認し,さらにはそのような否定的影響をもたらさず,相互作用を円滑にすることに寄与する視点取得の方略を実験室実験によって検討した。検討の対象としたのは相手の立場に立って考える視点取得方略,相手になったつもりで想像するシミュレーション方略,相手の気持ちを想像する共感方略とした。また,それらがもたらす影響については潜在過程への影響を含めて検討した。
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