研究概要 |
平成23年度は、ニューメラシーの測定及び感情を実験的に制御した実験研究をインターネット実験で行った。ニューメラシーの測定尺度は複数あるが、既往研究でもっともよく用いられているLipkus(2001)を採用、これを邦訳して用いた。感情誘導の手法は、既往研究から1)写真の使用(International Affective Picture System,1997など)、2)POMS TESTなどの感情測定尺度の使用、3)感情を喚起する過去の出来事の想起、がよく用いられていることが明らかになった。が、2)については測定尺度が長くまた積極的に感情を制御できないこと、3)についてはインターネット実験で十分に制御できるか効果が未確認であったことから1)の手法を用いた。ただ、海外ではIAPSが効果を確認し各写真について評価値が得られている写真セットが利用可能であるが、日本ではそのようなものがなく文化差の影響が大きい可能性が考えられたため、Web上の著作権フリーの写真から災害を連想させ恐怖・不安感を高めると考えられたもの(震災後の崩壊した建物の写真、およびアジア人の不安感の高い表情の写真を2枚選び、これを用いた。一方、課題は、1)アジアの疾病問題(Tversky & Kahneman,1981),2)マンモグラフィー検査の効果に関する複数の表記での伝達、3)因果関係の認知、4)ランダムネスの認知の課題、加えて5)地震発生の確率予測の公表に関する態度や意見など、を用いた。インターネット実験ではまずニューメラシーに関する課題を実施し、その結果に基づいて回答者をニューメラシーの高低、教育水準でスクリーニングを行い、本実験を行った。ネット実験の実施は2月中~下旬、回答者はスクリーニングテストが5553人、本実験は960人となった。
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