リスクコミュニケーションの効果に、情動や数量的情報に関するリテラシーであるニューメラシーが及ぼす影響を明らかにすることを目的としてウェブ調査を行った。Lipkusら(2001)のニューメラシーの質問項目を用い、2012年2月にまず関東圏の回答者(n=5553)に回答してもらい、そこから年齢層、教育水準、ニューメラシーレベルで層別抽出し(n=960)、5つのよく知られた意思決定や判断課題、および地震の確率的な長期予測に関する意見・態度を尋ねる質問項目に回答してもらった。結果は、ニューメラシーに関しては、中央値が10と米国での結果より高く、また、教育水準、年齢層による有意差が見られ、特に20代が低いのが目立った。意思決定問題ではリンダ問題など2問では有意差があったが、それ以外ではニューメラシーでの差はみられず、教育でバイアスが修正できるものとそうでないものがあることが明らかになった。一方、地震の確率的長期予測に関して、予測への態度や予測による不安感に差はなかったが、修正予報ではニューメラシーの高い集団は不安が低下するが、低い集団では不安が却って高まるという有意な違いが見られた。
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